苦くて重い、心臓を強く波打たせる感情が芽生えている。
正しい判断だったと高く自分を評価しているのに、感情がそれを許容しない。
後悔はしていないはずだ。ほんの少しの反省と胸の痛み。
想像上の世界でのみ知覚していた概念に色と名前がついて私の中にインストールされてしまった。
こんなにも苦しく悲しい気持ちになるなんてなぁ……人生初の感情に戸惑っている。向き合い方もよく分からない。
私は滾る感情を文章化して消費する人間だからここに逃げ込んでいる。その精神性が良くなかったのかなぁなんて自己嫌悪?
さて、ふわふわしたことを言うのはここまでにして状況説明。
恋人と別れました。
喧嘩別れでも何でもなく、話し合いの結果です。
この関係が私自身の主義主張に相反すると思い、お別れを告げた結果こうなりました。
望んだ結果を得ただけです。それなのにこんなに悲しいとは。
喪失感?笑って話し合って友人に戻ったので失ってもないはずなのですが、失敗した悔しさ?よく分かりません。
私が今回、人と付き合ってみようと思った理由のひとつに「恋愛感情が芽生えるかどうかの確認」がありました。結果は上々。
私は産まれてから1度も恋愛感情を抱いたことがなく、今後もこのまま生きていくのかと絶望していました。
そこに差し伸べられた手を握り返してしまいました。気心知れた友人の「好きじゃなくてもいいよ、ゆっくり好きになろうね」の一言に救われた気がしたんです。
私がこれは?もしや?と思ったのは関係が変わって一月経ったある日、恋人に対する強い殺意を覚えた瞬間でした。
燃え上がるような殺意、何だこの感情は!人間に抱いて良い感情じゃないぞ、抑え込め、と。
普段の私は他人に期待をしていないので不満など殆ど現れないのです。不満自体も少ないのに不満を拗らせて殺意?
恋人に対しての殺意が現れたことに衝撃を受けて、漸く自分が恋人に期待してしまっている事実に気づきました。
こんなことある?!意味がわからん!自他の境界線を引けよ!と自分に強く言い聞かせて、殺意を抑え込むことに成功。
暫く安寧の日々を過ごしていたのですが……ふと、あれ?これって私の主義主張、そして契約に反してないか?と思ったんですよね。
「私の事を大切にしない人間に割く時間は無いと思ってるし、私のことが好きじゃない人間に縋るほど飢えてないし、可能な限り対等な関係を望むけど大丈夫?」
と言って付き合ったのですが、あれ?大切にされてなくない?好かれてるのか?と不安に思ってしまって。その不安が不満となり殺意になっているのでは?と。
素直に聞けばよかったのは分かっているんです。でも無理でした。
相手なりに大切にしてくれていることを脳で理解していたから聞けなかった。でも私の価値観に沿った大切にされ方をしてくれないと満たされないでしょう?
好きじゃなかったらこの頻度で会いに来る人ではないと知っていたから聞けなかった。でも愛情表現の方法が私の価値観とはズレていてそれを認識、許容出来なかった。
凄く忙しいのを分かっていたから押せなかった。遠慮しない関係に慣れていないのが仇となった。
貴方の人間性が好きだから友人として長く近くにいたし、この関係も許容したんだよ。変わらないで欲しいという気持ちと歩み寄って欲しいという気持ちのせめぎあいがあった。
私を想ってくれているという前提の元、意思を伝えればよかったなぁ。これは今後に活きる反省ですよね。私の事嫌いなわけないし。
やんわりと伝えても伝わる訳などなく。ハッキリとこれが不満だから改善可能か?と確認するべきでした。
一応確認したんですよ。私が耐えられないことを改善して貰えないかと思い「これ(改善案)はどうしても嫌?」と。そうしたら『これは嫌』と返されたので諦めてしまった。
友人関係が長すぎたのも良くなかったかな?相手に期待しすぎない、程よい距離感で長い期間やって来すぎて踏み込めなかった。
細かい要望は伝えていたし、全て叶っていたんです。何処まで望んでいいのかがわからなかった。多分無限なんですね。遠慮しちゃだめだったのか。
反省。ただひたすらに反省。
別れ話の最中、改善点について話していたのですが「言いたいことをもっと言うべき」とのご意見を賜りまして……仰る通りです。
因みにその場で私は相手の改善点を話せませんでした。いや〜、言えないですね!そゆところが良くないのはわかるんですけどね!
ほんと、これは価値観の問題なのですが「他人を変える」ことへの抵抗が凄くありまして……いやはや……この意識を変えないと恋人関係というのは難しいのかもしれないなぁ。
諦観でコミュニケーションを円滑化してきた人間に相手を変えるという思想が残っていなかった。
だからこそ、合わないから別れませんか?という結論に至ってしまったんです。
その前に話し合うべきだったんでしょうね。でも言い訳をするなら何度も話し合おうとしていたんです。
全て失敗したんですけどね……押しの強い人間好きだからな……仕方ないね……反省!
軌道修正。
そう、恋愛感情。あの燃えたぎる殺意は恋愛感情なのか?という疑問を抱えたまま別れ話へ突入。
別件で呼び出した公園に着くと、先に到着していた相手がスーツ姿でブランコに乗っていたんですよ。
あんなに強い意志を持って誘い出し、話そうと決意して、ここまで来たのに…………言えない、ダメだ言えない、言いたくないと思ってしまった。
何だこの感情は?!どうしよう、かなしい!よく分からないまま相手を眺め、心拍数が上昇し、ブランコを漕ぐ姿を撮らなくちゃ!と思いました。
自覚。こんな状態で芽生える?!そんなことある?!信じられない!これから別れる予定なのに?!もうパニックでした笑
混乱を極め、5分貰って精神を統一させようとしましたが失敗。ぐだぐだしましたが最終的に別れ話をしてお別れしました。
くすくす笑いながら、これからも友達としてよろしくねって、これで悩みから解放されると思ってにこにこしました。
いやはや、人間って謎ですね。
ブランコに乗って私を待つスーツ姿を見た時に感じたトキメキは本物だったと思う。
友好関係に固執する私は、この関係になる前、別れた後に友人に戻れるかを確認していた。当たり前じゃんと笑っていたから付き合えた。
別れ話の中でも確認をとった。全く同じトーンで当たり前じゃん?と言われたので安心した。
良かった、それならなんの問題もないな。
唯一の問題はこの心臓。
笑って別れ話をして、良かった!悩みが解決した!と思ったのに、夕食を全てもどしてしまった。
とまらない吐き気が眠気を飛ばし、内臓に鉛が入ったような感覚がした。
涙は一滴も出ていないのに号泣した後のように頭が重く前を見ていられなかった。
意味がわからない。望んでいたはずだろ。その解答が欲しくて提案したのに。
こんなの誰にも知られたくない。ただ、こんな感情が私に存在することが嬉しくも愛おしくもあり記録に残したいと思った。
私、恋愛ができる人間だったんだ!!!嬉しい…………本当にありがとう。
あれが恋愛感情でいいんだよね、いいんだよね?
ちなみにこのブログを書き始めてはや二日。
当時の悲しみなんて全くなくて、今は爽快感と達成感、私自身の決断力の素晴らしさに自己肯定しか出来ない状態になっている。
友人に戻れるなら良くない?人としては大好きだけど恋愛感情はもうないし。
私の事好きじゃない人のことを好きでいられるほど暇じゃないしね。いや、多分好かれているけれど……まぁ言葉の綾?お互いそれが最善と思ったから別れたわけだし。
失うまでが一番痛い。手元に無いものへの感情なんてほぼ無い。
去るもの追わずの人生がここに詰まっている。いや、去ったのか?去ってはないか。
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特に何も失っていないし……いや、一つだけ失った。
…………失敗した。それもあって辛かったんだよな。人間関係というのは難しい。
私にはとても仲の良い人が居て、恋人ができたことをその友人にも報告した。
私は友人を本当に親しく思っていて、友人も私にすごく良くしてくれていたし、とても良い関係を築いてきていた。
友人とは中学校の頃からの付き合いで、本当に親しくなったのはここ5年くらいなのだけれど、成人式に合わせて時計も選びに行ったし、一緒に買い物に行ったり、映画に行ったり、ご飯を食べに行ったり、観光したり……飲んで話してチャットして……本当に楽しかった。
仲良くなったキッカケは私の元男友達。元男友達と私の仲を取り持とうとやってきた友人に「何言ってるの?せめて本人連れてこい」と拒否したことで交流が復活した。
その時期、男友達が私に好意を持つことで友情の終わりを迎えることが立て続いていたので(私の距離感バグのせいだったらしく反省しました)友人に散々言いました。
「絶対にお前のことを好きにならないから誤解をさせるような言動や行動があったら咎めてくれ」「何があっても好きにならない。友情を信じさせてくれ」「好きにならないで、私も好きにならないから」「絶対に期待しないで。そんな意図はひとつもないから」
これに対し友人は『自惚れるなよ』と笑っていた。
そんなことがあり5年、仲良く仲良くやってきたつもりです。
友人に恋人ができたことを報告するのは当然だと思いました。
恋人が私に提示した唯一の条件が「男と2人で会わないで」だったので、どうしようか?と。相談するつもりだったんです。
こいつだけ許して貰えないかな?本当にただの友達だし、疚しいことなんて何も無い。恋人に確認して、それでもダメなら恋人との関係を考えようかなと。
報告した時の友人の反応は想定外でした。
『その男は辞めた方がいい、別れなよ、別れたら俺が口説くけど、いや俺ごめん最低だ、幸せになれよ、いや、お前、俺にそういうことを言うと、別れろしか言わないから、何も聞かない方がいい、もうダメだ、お前、、、いじわるしてごめんね?うん、彼氏と上手くやれよ』
一度は辞めたはずの煙草を信じられないくらい吸って、そんなんじゃ早く死んじゃうよ?もっと身体を大事にして?
『凄いストレスが掛かっているもので……』
そうなん。あーぁ、言わなきゃわかんないよ。(特大ブーメラン)
さっさと言えよ、お前からの提案の方が早かったらお前に乗って、はなかったかもしれないけど、でも、恋人なんて作らなかった。というか、いや、なんっ……いやいや、はぁ。
どうやら耐えられないらしい。友情の終わり。友人はここを離れ、二度と私に会わないようにするそうです。辛。
被害者振ってるんじゃないぞ、散々言ったじゃん。好きにならないでって。始めだけじゃないよ、何度も何度も繰り返し言ったじゃん。
私が誰のものにもならないと思ってぬくぬくとしていたんだろ。彼女探ししてたのも知ってるし、私は女慣れしていないお前に彼女が出来た時、まともに対応できるように育て上げたつもりだ。
初めて遊んだ時なんて歩幅が全く合わなくて私を置き去りにするから、現地集合にするか歩幅を合わせるかして?と言った。
折角背が高いのに猫背じゃ勿体ないよと少しずつ直させたつもり。
その服装はなんだ!もっとこゆのにしろよ!と私はこういうのが好き、やっぱスーツだろ!清潔感だよ!と。お洒落になって行くお前を見てこれなら彼女もできるだろうと安心していたのに。
「ねぇ、もし一人暮らししたら遊びに行くからね。一緒にゲームしようよ。私ギャルゲーと乙女ゲー一緒にやりたい!一人でやる気はしないけど2人で相談しながら攻略しようよ!きっと楽しいよ!!」
ノリノリだったくせに。たかが恋人ができた位で壊れる友好関係だったの?友人と思っていたのは私だけってこと?
つら、本当に辛。
『彼女が出来てもお前とは会うと思うわ』「彼女さんに絶対バレるからやめとけ」『バレないだろ』「いや、バレるし、かわいい女の嫌がることするの辞めろよな」『そんな彼女ならだるいから要らないわ』「は?付き合ったらそんなもんでは?」『お前も?』「それはしらんけど」『ほーん』
まともにエスコートするようになって、ふーん?いい練習台になれてるのかなと思っていたのに。
遊びに行く場所が前よりよっぽどデートっぽくなっていたから下調べがてら遊んでるのかな?上手くいってるのかな、なんてニコニコしていたのに。
お前の結婚式、友人席で誰よりも幸せになってくれ、と号泣するつもりだったのに。
人前で泣くことの無い、この私が!お前の結婚式ならきっとわんわん泣けるだろうと思っていたのに!!!
なんて勝手なやつなんだ。言ったろ、好きになるなって、言ったろ、お前のこと好きになることは無いから期待するなって、言ったろ……ぐぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!
私は大切な友人を失って、失わせた切っ掛けである恋人に、心のどこかで友人分の穴埋めを求めていたのかもしれないなって反省した。
「ねぇ、それ、いい時計だね。」『もう外した方がいい?』「なんで?大事にしてよ」
………難しいなぁほんと。人間関係って難しい。こんなに悩んだのは久しぶりだった。
人の心は想像よりも制御出来ないんだなって理解した。
⿴⿻⿸
閑話休題。
最高に魅力的で大好きな友人だ。人として好きだから付き合った。恋人には向かなかったけど好きなことに変わりはないよ。
自己肯定感が高く、自信があって、プライドも高くて、スタイルも良い。
愛してるぜ心の友よ!その自由なところが好きだよ。
そんなお前のスーツ姿に手錠をかけて拘束して、マウントポジションを取って首を絞めてやりたかった。急所を踏みつけて、その顔を歪めてやりたかった。普段見下ろされることの無い男を見下ろして可愛いねって言いたかった。
その高いプライドをへし折ってやりたかった。
ずっと隠していた欲を掻き立てる、私好みのお前をぐちゃぐちゃにしてやりたかった。
膝を跨いで座って首に手をかけて絞めた時の悦びをもう一度味わいたかった。大きい手のひらを頬に添えて、長い指を口に突っ込んで噛み跡をつけたかった。
別れ話をする前にもう一度だけ、この欲を満たしておけばよかったな。
ねぇ、これはきっと恋愛感情じゃなくて欲だよね。こんなドロドロとしたものを恋愛感情だなんて認めたくないよ。
きらきらした創作物の中にあるふわふわで甘い綿菓子みたいな感情を味わってみたかっただけなの。
これからも仲良くしてよ?裏切ったら許さないから。
やっぱり文章化するのって大事だな。完全に吹っ切れている。
何故あんなに悲しいと思ったんだろ?友人になるならいいじゃんね。
別れは一瞬の悲しみなんだな、せいぜい3日?というところだろうか。
ときめいたはずの心臓も何も言わなくなって、鉛が入ったはずの臓腑も軽くなって…………あれぇ?こんなもん?辛かったのは事実なのにな。
付き合い続けたら辛いままだし、ズルズル続けるよりは辛いと思った時点で話し合い又は別れを切り出す方が良いな。
あと、多分これは性格の問題なのだけれど「自分の手の届く範囲から無くなった」と思った瞬間から興味を失ってしまう。
ギルドを去った元ギルメンをどうでもいいと思っているのと同じ感覚。
これはもしかすると良くないのかもしれない。恋愛ってそういうものじゃないのかもしれない。これはまた今度考えるか!
因みに、恋人と色々とあった訳ですが……推しカプ小説のネタにする許可もしっかりとったので沢山書きますよ〜♡
下書きはほとんど済んでるので後は肉付けするだけです。リアリティがあるかな?、色男に教えを乞いましたからね!ご期待あれ?
随分と短かった?でも私にしてはよくやった。ちゃんと恋愛出来たじゃないか。
まぁほぼノーカンと言われたらそれまでなのですが……人生初、恋愛感情?だったので……ストレス凄かったんです。仕方ないじゃん!
恋愛感情?っぽいものも存在することがわかったし、あとは数をこなすだけ。私は天才ではないから努力しないとね。
今後に活きる教訓を得て、この話はここでおしまい。
苦しくも楽しい時間をありがとう。人として好きだよ。
さて、髪でも切りに行こうかな。