あまがさの日記のようなもの

書きたい時に書く日記のようなブログです。

美術鑑賞

今晩は。数年前に美術館に行った際に書いていたメモが発掘されたのでそのまま貼ります。

ヤン・ファン・ホイエン「マース河口」

国立西洋美術館の常設展を見学し、ヤン・ファン・ホイエンによって1644年に描かれた、 マース河口(ドルトレヒト)という作品に興味を持った。
この作品は48,5×76cmの板に油絵の具で描かれており、色合いも目立つ作品ではないが自然と目が惹き付けられた。
ヤン・ファン・ホイエンはオランダの画家で、この絵画もオランダのマース川河口から海を眺める立ち位置からドルトレヒトの街が描かれている。
淡い色調で雲や水面の絶妙な光の描写がしており、美しくも、切ない表現になっているように感じた。
又、この作品が描かれた17世紀のオランダは黄金時代と言われておりとても栄えていたそうだが、この作品から時代の華々しさは感じなかった。
1630年代には淡色風景画、1640年代から晩年にかけては明暗のはっきりした風景画を描くようになっと言われているそうだが1644年に描かれたこの作品は淡い色で描かれており、傾向であって全ての絵ががそうではないのだということも解った。
国立西洋美術館の常設展は松方コレクションを主体にロダンやフランス近代彫刻を取り入れた西洋美術作品を展示している。時代順に作品が並べられており美術史を学ぶことに適していると思った。

 歌川広重「月下桃花に燕」

 東京国立博物館の本館の常設展を見学した。月下桃花に燕 という天保3年~6年に刷られた歌川広重の錦絵が特に良かった。
38.7×17.7cmの紙本木版多色刷りの作品で二羽の燕と桃が色鮮やかで強く印象に残った。
細かく描かれている翼から燕の激しい羽ばたきが分かり、羽ばたく二羽の燕と静かに咲く桃がお互いを引きたてているように感じた。
燕と桃の両方に赤い色を使うことで画面にまとまりが出ているようにも思った。
燕と桃の後ろには青い空と白い月が浮かんでおり、画面の彩りを豊かにしているようにも思う。又、幅を広めに青をぼかしていて朝の月のようだと思った。
歌川広重は歌川豊広に絵を学んだだけではなく、狩野風、南宗画、四条流も学んでいたそうで、絵画に対する意識がとても高かったのだと思う。

生涯作品は2万点以上と言われていることからも、芸術への強い思いを感じることが出来る。
歌川広重の作品は海外からの評価も高く、よく使っていた紺青色はヒロシゲブルーと呼ばれているそうで、やはり青の使い方がとても上手なのだと思った。
私はヴィンセント・ヴァン・ゴッホクロード・モネが大好きだが、二人の偉大な画家に影響を与えた歌川広重のことも好きにならざるを得ないと思った。
東京国立博物館の本館は縄文時代から江戸時代までの日本の美術品が展示されている。時代順、分類別に部屋を分けて展示されており、とても見やすいと思った。

日本美術と西洋美術を比較して考えたこと

西洋の絵画と日本の絵画では線の持つ意味が違うのではないかと考えた。

西洋絵画でははっきりとした線は下書きに使うのみで上から色を塗って消しているが、日本絵画では線を引き立てるように色を塗っていた。

西洋絵画から重たい印象を感じるのに対して日本絵画はさっぱりとした印象を受けた。
又、画面の使い方が違うと感じた。キャンバスの全体を使って均等に描かれた西洋絵画に対し、日本絵画は画面を区切って視点を当てているものをわかりやすく目立たせるように描いているように思う。
色の塗られていない部分が日本絵画にはあるが西洋絵画には無い。これは作品に対する意識の違いという訳ではなく美的感覚の違いなのではないかと考える。
画面の使い方や線に対する感じ方が違うこと、西洋の美的感覚と日本の美的感覚には大きな違いがあることがよくわかった。